亜鉛の役割|体の中で何をしている?男性の健康との関係も解説
「亜鉛は体に良い」と聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。
しかし、亜鉛が実際に体の中でどのような働きをしているのか詳しく知らない方も少なくありません。
亜鉛は私たちの体内でさまざまな働きに関わっている必須ミネラルです。
免疫機能、細胞の成長や修復、たんぱく質やDNAの合成、味覚など生命活動に必要な多くの仕組みに関係しており、さらに男性の健康を考えるうえでは生殖機能やテストステロンとの関係も研究されています。
この記事では亜鉛が体の中でどのような役割を果たしているのかを中心に、男性の健康との関係や、摂取するときの注意点についてわかりやすく解説します。

💡この記事でわかること
| ✓ 亜鉛は体の中でどのような役割をしている? ✓ 亜鉛の主な役割 ✓ 男性にとっての亜鉛の役割 ✓ 亜鉛と精子・生殖機能 ✓ 亜鉛はどのくらい必要? ✓ 亜鉛の摂りすぎにも注意 ✓ 亜鉛を摂ればEDは改善する? |
亜鉛は体の中でどのような役割をしている?
亜鉛は体内に存在する多くの酵素の働きに必要なミネラルであり、酵素とは体の中で起こるさまざまな化学反応を助ける物質です。
亜鉛はこうした酵素の働きを支えるほか、細胞の分裂や成長、DNAやたんぱく質の合成などにも関わっています。
つまり、亜鉛は「特定の一つの働きだけを担当する栄養素」ではありません。
体のさまざまな場所で、正常な機能を維持するために使われています。
米国国立衛生研究所(NIH)のOffice of Dietary Supplements(ODS)によれば亜鉛は細胞の代謝、免疫機能、たんぱく質・DNA合成、創傷治癒、細胞のシグナル伝達や分裂など、幅広い生理機能に関与するとしています。
亜鉛の主な役割
では、亜鉛が関係している代表的な働きをそれぞれ見てみましょう。
免疫機能を支える
免疫とは細菌やウイルスなどから体を守るための仕組みです。
亜鉛は免疫細胞を含むさまざまな細胞の働きに関係しているため、亜鉛が不足すると免疫機能にも影響する可能性があります。
免疫機能が低下すると細菌やウイルスなどの病原体から体を守る力が弱くなります。
そのため感染症にかかりやすくなったり、感染した場合に症状が長引いたりする可能性があります。
ただし「亜鉛を多く摂れば免疫力が高くなる」という意味ではありません。
必要な量を不足しないように摂ることが重要です。
細胞の成長や修復に関わる
私たちの体の中では毎日新しい細胞が作られています。
細胞の分裂や成長、DNAやたんぱく質の合成にも亜鉛が関係しています。
特に成長期や体の組織が修復される過程では、亜鉛を含むさまざまな栄養素が必要になります。
味覚を正常に保つ
亜鉛が不足すると味覚や嗅覚に影響が出ることがあります。
「以前より味がわかりにくくなった」という場合、原因は亜鉛不足だけとは限りませんが、栄養状態を確認するきっかけになることがあります。
男性にとっての亜鉛の役割
亜鉛は男性の健康を考えるうえでも重要な栄養素です。
特に研究されているのが男性ホルモンであるテストステロンや生殖機能との関係です。
亜鉛とテストステロンの関係
テストステロンは男性の体内に存在するホルモンの一つです。
筋肉や骨、性欲、生殖機能など、男性の身体機能に関係しています。
亜鉛とテストステロンについては、これまで複数の研究が行われており、2022年に発表された系統的レビューでは「亜鉛の状態とテストステロンとの関連を調べた研究」をまとめ、血中亜鉛濃度と総テストステロンには正の関連がみられると報告されています。
一方で亜鉛の影響はもともとの亜鉛状態やテストステロン値、摂取量、摂取期間などによって異なる可能性があるとされています。
1996年に報告されたヒト研究では亜鉛欠乏と男性の低ゴナドトロピン性腺機能低下症との関係が検討されています。
このような研究から亜鉛が男性ホルモンの働きと無関係ではないことがわかります。
ただし、亜鉛を摂ればテストステロンが必ず上昇する、という意味ではありません。
亜鉛不足がない人が大量に摂取すれば、テストステロンが上がると証明されているわけではないため注意が必要です。
亜鉛と精子・生殖機能
過去の研究をまとめたメタ解析では、不妊男性では精漿中の亜鉛濃度が低い傾向がみられ、亜鉛の補給によって精液量や精子運動率、正常形態精子率が改善したという結果が報告されています。
一方で研究結果がすべて一致しているわけではありません。
2025年に発表された男性不妊に関する大規模な系統的レビュー・メタ解析では、亜鉛を含む複数の栄養素について「精液中の亜鉛濃度と男性不妊との間に明確な差が確認されなかった」と報告されています。
また、2025年に発表された男性不妊に対するサプリメントの系統的レビュー・メタ解析では、亜鉛や葉酸などによって一部の精子パラメータが改善した研究がある一方、妊娠や出生率について明確な効果は確認されず、全体としてエビデンスの確実性は低いとされています。
そのため「亜鉛を飲めば妊娠しやすくなる」「亜鉛を飲めば男性不妊が治る」と単純に考えることはできません。
亜鉛は生殖機能に関係する栄養素の一つですが、男性の生殖機能には年齢やホルモン、精巣の状態、生活習慣などさまざまな要因が関係します。
亜鉛はどのくらい必要?
亜鉛はたくさん摂ればよい栄養素ではありません。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、成人男性の亜鉛の推奨量は年齢によって異なり、18~29歳では9.0mg/日、30~64歳では9.5mg/日、65歳以上では9.0mg/日とされています。
食品ではどのくらいの亜鉛を摂れる?
1日に9~9.5mgの亜鉛が必要」といわれても、実際にどのくらいの食品を食べればよいのか分かりにくいかもしれません。
亜鉛は肉類や魚介類、豆類、卵など、さまざまな食品に含まれています。
代表的な食品について食べる量の目安と亜鉛の含有量を見てみましょう。
| 食品 | 食べる量の目安 | 亜鉛の量の目安 |
| 牛肉(サーロイン・赤肉) | 100g | 約3.9mg |
| 豚肉(ヒレ) | 100g | 約2~3mg |
| 牡蠣 | 100g | 約13mg前後 |
| 納豆 | 1パック(約40g) | 約0.8mg |
| 卵 | 1個(約50g) | 約0.6mg |
| 牛乳 | コップ1杯(約200g) | 約0.6mg |
| チーズ | 1~2切れ程度 | 種類によって異なる |
※食品の種類、部位、商品、調理状態などによって亜鉛の含有量は変わります。上記は目安です。
例えば、納豆1パックや卵1個だけで1日に必要な亜鉛をすべて補えるわけではありません。
一方で肉や魚介類などの主菜に、卵、納豆、乳製品などを組み合わせることで、食事全体から亜鉛を摂取できます。
特に牡蠣は亜鉛を多く含む食品として知られています。
ただし毎日の食事で牡蠣だけを大量に食べる必要があるわけではありません。
また、耐容上限量は18~29歳で40mg/日、30~74歳で45mg/日、75歳以上で40mg/日です。
「この食品だけを食べればよい」と考えるのではなく、さまざまな食品を組み合わせて必要な栄養素を摂ることが基本です。
ここで注意したいのが、耐容上限量は「この量までなら積極的に摂ったほうがよい」という数字ではないことです。あくまで習慣的な摂取量について、健康障害のリスクが高くならないよう設定された上限です。
亜鉛の摂りすぎにも注意
「不足が心配だから、できるだけ多く摂ろう」と考えるのはおすすめできません。
亜鉛を過剰に摂取すると、吐き気、腹痛、嘔吐、食欲低下などが起こることがあります。
さらに長期間にわたって高用量の亜鉛を摂取すると、銅の吸収を妨げ、銅不足につながる可能性があります。
そのため、亜鉛を含むサプリメントなどを利用する場合には製品に記載されている摂取量を確認し、複数のサプリメントを併用している場合は、亜鉛の合計量にも注意する必要があります。
亜鉛を摂ればEDは改善する?
亜鉛と男性の性機能には関連が研究されています。
しかし、亜鉛を摂取することだけでED(勃起不全)が改善すると断定することはできません。
EDには血管や神経、ホルモン、心理的な要因、生活習慣、服用している薬など、さまざまな原因があります。
亜鉛不足がある場合には適切な栄養状態を保つことが重要ですが、EDの症状がある場合は、亜鉛だけで対処しようとするのではなく、原因を確認することが大切です。
「勃起しにくい」
「勃起しても途中で萎えてしまう」
「以前より性欲が低下した」
などの症状が続いている場合は、EDを含めた男性特有の悩みについて相談することをおすすめします。
まとめ|亜鉛は体のさまざまな働きを支える栄養素
亜鉛は体内で多くの酵素の働きを支え、細胞の成長や修復、DNA・たんぱく質の合成、免疫機能、味覚など、さまざまな生理機能に関係しており、テストステロンや生殖機能との関係も研究されています。
ただし、
- 亜鉛を摂れば必ずテストステロンが上がる
- 亜鉛を摂ればEDが治る
- 亜鉛を多く摂るほど健康になる
というわけではありません。
亜鉛は「不足しないこと」と「摂りすぎないこと」の両方が重要です。
特にEDや性欲の低下など男性特有の症状が気になっている場合には、栄養素だけに原因を求めず、専門の医療機関で相談することが大切です。
ギガクリニックではED(勃起不全)をはじめとした男性特有のお悩みについて診療を行っています。
「最近、勃起しにくくなった」
「性行為のときに十分な硬さにならない」
「途中で萎えてしまう」
そういった症状がある場合、原因は亜鉛不足とは限りません。
自己判断でサプリメントを大量に摂取するのではなく、まずは医師に相談してみましょう。
ギガクリニックでは対面診療に加えてオンライン診療にも対応しています。
男性スタッフ・医師による診療を行っているため、デリケートな悩みについてもご相談いただけます。
EDについて悩んでいる方は、ぜひ一度ギガクリニックへご相談ください。
参考文献
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
- National Institutes of Health, Office of Dietary Supplements. Zinc Fact Sheet for Health Professionals.
- Prasad AS, et al. Zinc status and serum testosterone levels of healthy adults. Nutrition. 1996.
- Zhao J, et al. Zinc levels in seminal plasma and their correlation with male infertility: A systematic review and meta-analysis. Sci Rep. 2016.
- Chen J, et al. Associations of semen essential/non-essential elements with the risk of male infertility: A systematic review and meta-analysis. Toxicol Lett. 2025.
- Dietary Supplements and Male Infertility: A Systematic Review and Meta-Analysis. 2025.
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記事監修

総院長菅原 俊勝
- 2004年(平成16年)
- 秋田大学医学部医学科卒業
- 2014年(平成16年)
- ユナイテッドクリニック(現 ギガクリニック)池袋院
- 2021年(令和3年)
- 医療法人社団 淳康会 高森会 理事就任
- 2021年(令和3年)
- 大宮院管理医師、総院長就任
