新型コロナウイルス感染症による、味嗅覚障害 

2020.06.06

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新型コロナウイルス感染症の重要な初期症状として味嗅覚障害が早くから注目されています。

発熱、呼吸困難といった全身症状に先行して発生するといわれ、通常はあまり見られない症状であることから対策上も重要です。こうした特異な症状は、ネット上で公開された情報だけでもおおまかな頻度や傾向を知ることもできます。

東京に次ぐ感染者が出た大阪府では4月3日(この時点での感染者数累計347人)までは感染者の詳細な症状の出現状況を公表してましたので、データが得られる319人について分析したところ興味深い傾向がみられました(4月4日以降は、重症、軽症等の程度のみの公表となり、詳細な症状は公表されなくなった)。

319人中、無症状は37人(11.6%)で、何らかの症状を有する282人がのべ751の症状を示してました(平均2.7、最大7)。出現率でみますと、最も多かったのは発熱(84.0%)で、次いで咳(50.0%)になります。味嗅覚障害はのべ34人(有症者の12%)に出現してましたが、味覚障害に限って年齢階級別にみますと最も高かったのは20代で20.0%(13人/有症者65人)、次いで30代13.6%(6/44)になります。逆に70、80代はいずれもゼロです(30人中ゼロ)。興味深いことに性差はありません(男9.3%[15/162]vs. 女9.2%[11/120])。

ちなみに韓国大邱医師会による調査(Yunghyun Lee, et al:J of Korean Medical Society. 2020;35(18):e174.)では味嗅覚障害の出現率は15.3%で、若い患者に頻度が高い、という点で分析結果とほぼ一致してます。一つ異なるのは、韓国での調査では明らかな性差がみられ女性の方に頻度が高かったということです。

日本のコロナ対策は保健所による詳細な疫学調査が強みであり、蓄積された膨大な疫学情報を世界に発信すれば有用なエビデンスを提供できると期待されます。
初期症状などの疑わしい症状がみられた場合には医療機関へ直接赴く前に、まずはかかりつけ医に電話でのご相談・または各都道府県が設置する『帰国者・接触者相談センター』に電話でご相談ください。

ギガクリニック東京駅前院では引き続きコロナウイルス感染症対策を行っております。お近くにお越しの際はぜひお立ち寄りください。

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