コラムCOLUMN

ED治療薬のシアリス10mgが市販薬として販売!今後のED治療の変化について

2025.09.19

1.国内初となるED治療薬の市販化について

厚生労働省の専門部会は2025年9月18日、勃起不全(ED)治療薬「シアリス」(一般名:タダラフィル)を、医師の処方箋がなくても薬局で購入できるようにすることを了承しました。販売形態は「要指導医薬品」として、必ず薬剤師との対面による確認・説明を受けて購入する形式になります。ED治療薬が市販化されるのは日本で初めてのことです。今回申請を行ったのはエスエス製薬で、厚生労働大臣の正式承認を経て市販化が進む見通しです。

(出典:NHKニュース「ED治療薬『シアリス』薬局で購入可能に 国内初」2025年9月18日 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250918/k10014926761000.html)

2.シアリスについて

シアリスは、勃起不全の改善を目的に用いられる薬剤で、性行為に十分な勃起とその維持ができない男性が対象となります。通常は成人男性が性行為の約1時間前に10mgを1錠服用します。今回市販化が検討されているのも10mg製剤であり、医療用で処方されている20mgに比べると効果は控えめです。そのため、重度の症状に対しては十分な効果が得られない可能性があります。

また、シアリスには併用禁忌薬が存在し、特に狭心症治療に用いられる硝酸剤と同時に服用すると命に関わる危険があります。さらに心血管疾患などの持病を抱える方には使用できません。こうしたリスクを避けるため、市販薬であっても販売前に薬剤師が確認を行う必要があります。加えて、シアリスは催淫剤や性欲増進剤ではなく、中枢神経には作用しない点も重要です。

3.他治療薬との違い

現在、国内で利用されている主要なED治療薬にはバイアグラ(シルデナフィル)、レビトラ(バルデナフィル)、そしてシアリス(タダラフィル)の3種類があります。シアリスの特徴は、作用時間が長い点にあります。シルデナフィルやバルデナフィルは効果が数時間程度であるのに対し、タダラフィルは最大で36時間程度作用が持続するとされます。そのため「週末薬」と呼ばれることもあります。

一方で、今回市販化されるのは10mg製剤と低用量のため、即効性や持続力において従来の処方薬と比較して弱い印象を持つ方も出てくるでしょう。軽度の症状改善や、試しに使用してみたい方にとっては選択肢となり得ますが、中等度以上の症状を持つ方にとっては医療機関での処方を受ける必要が残ります。

4.ED治療薬の状況について

ED治療薬は、国際的には第一選択薬のひとつと位置づけられていますが、市販化されている国は限られています。たとえばイギリスでは2018年からバイアグラが薬局で購入可能になりましたが、他国では処方箋が必要なケースがほとんどです。日本国内でもこれまでED治療薬は全て処方箋医薬品であり、今回の動きは大きな転換点といえます。

また、日本では2022年4月から男性不妊の治療目的で、条件を満たした処方のみが保険適用となりました。これはED治療薬が不妊治療の一助として認識され始めている証拠ともいえます。

5.市販薬になった場合の購入方法

市販化後にシアリスを購入できるのは、EDの症状がある本人のみです。購入にあたっては、以下の手順が求められます:

  1. 年齢確認のための身分証提示
  2. 症状の有無に関する確認
  3. 内服薬や禁忌疾患の有無の確認
  4. 薬剤師からの説明を受ける

現段階ではオンライン販売は認められておらず、必ず薬剤師との対面販売が必要です。薬剤師は事前に製薬会社の研修を受けており、販売に際して適切な確認を行う体制が整えられます。ただし、令和4年の厚生労働省の統計により男性薬剤師が38.4%(124,183人)、女性薬剤師が61.6%(199,507人)です。薬剤師の多くは女性であり、購入時に恥ずかしさを感じる男性も少なくないと予想されます。また、導入する薬局の数も限られる可能性があります。

(出典:厚生労働省「令和4(2022)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/22/dl/R04_1gaikyo.pdf)

6.市販化の流れを踏まえて推測されるED治療の変化

EDは加齢や生活習慣病に関連することが多く、多くの男性が悩みながらも受診をためらっているのが現状です。今回の市販化は、そうした男性にとって治療へのハードルを下げる役割を果たす可能性があります。少子化対策や性に関する健康の意識向上といった社会的背景とも無関係ではないでしょう。

ただし、効果が比較的弱い10mg製剤であること、オンライン購入ができないこと、そして薬剤師による詳細な確認が必要であることから、市販薬だけで治療を完結できる人は限られると考えられます。むしろ「市販薬で効果が不十分だった方が医療機関を受診する」という流れが増える可能性があります。

日本性機能学会が2023年に実施した全国調査「性機能障害の全国実態調査」(対象:20~79歳の日本人男性6,228名)によると、勃起硬度スコア(EHS)で「ED」と判定される男性は30.9%にのぼります。これは、国勢調査の日本人男性人口に換算すると約1,400万人に相当します。EDは決して一部の人だけの問題ではなく、国全体の健康課題として注目すべき状況です。

また、2014年度の厚生労働科学研究では、個人輸入代行サイトで販売されていたタダラフィル製剤の約7割が模造品であることが確認されました。実際に、模造品による健康被害が報告されたケースもあり、ED治療における安全性の重要性が改めて示されています。

今後、薬局で医師の診断なしに入手可能となることで、これまで受診をためらっていた人々が治療を受けやすくなると考えられます。これは単なる利便性の向上にとどまらず、公衆衛生上の課題解決や医療の安全性向上にもつながると期待されます。

7.ギガクリニックからのご案内

現時点では市販化の時期は未定であり、実際に薬局で購入できるようになるまでにはまだ時間がかかると予想されます。効果が弱めの10mg製剤では満足できない方も多いでしょう。

EDの症状でお悩みの方は、待つ必要はありません。ギガクリニックでは、医師の診察のもと適切な用量のED治療薬を処方し、症状や体質に合わせた治療をご提案しています。安全性を確保しつつ、効果的な治療を受けたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。

シアリス市販化に関するメリット・デメリット表

項目内容ポイント
メリット– 薬局で医師の処方なしに購入可能- 薬剤師による対面確認で安全性確保- 受診をためらっていた男性が治療を始めやすくなる- 偽造薬リスクの低減(個人輸入による健康被害防止)市販化による利便性向上と安全性向上が期待される
デメリット– 市販化されるのは10mg製剤で効果は控えめ- オンライン購入は不可、薬剤師との対面が必須- 薬剤師は女性が多く、購入時に羞恥心を感じる可能性- 導入する薬局が限定的軽度ED向けの選択肢にはなるが、中等度以上では医療機関での受診が必要
対象者の確認– 年齢確認(身分証提示)- 症状の有無確認- 内服薬や禁忌疾患の有無確認安全に服用できる人を限定するためのチェック
公衆衛生的意義– 未治療ED患者への治療アクセス向上- 生活習慣病や心血管疾患リスクを踏まえた指導- 少子化対策や性に関する健康意識向上市販化により個人輸入や偽造薬の使用を減らし、健康被害を防止

出典

  • 日本性機能学会. 「性機能障害の全国実態調査(2023年)」プレスリリース.
    https://www.jssm.info/news/2023/nationwide-survey/
  • 厚生労働省(厚生労働科学研究). 「平成26年度厚生労働科学研究費補助金報告書:個人輸入医薬品の品質及び流通実態調査」
    https://mhlw-grants.niph.go.jp/project/17535

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記事監修

ギガクリニック総院長 菅原 俊勝

総院長菅原 俊勝

2004年(平成16年)
秋田大学医学部医学科卒業
2014年(平成16年)
ユナイテッドクリニック池袋院
2021年(令和3年)
医療法人社団 淳康会 高森会 理事就任
2021年(令和3年)
大宮院管理医師、総院長就任