座りっぱなしは良くない?EDとの関係
デスクワークやスマートフォンの長時間使用、移動中の座位など、現代の生活は「座りっぱなし」になりがちです。座りっぱなしによる肩こりや腰痛、運動不足といった不調はよく知られていますが、実はこの生活習慣がED(勃起不全)と関係している可能性があることをご存じでしょうか?
長時間座ることで血流が悪くなったり、骨盤周辺が圧迫されたりすると、勃起に必要な血液や神経の働きに影響を及ぼすことがあります。運動不足が続くことで男性ホルモンの分泌が低下し、性欲や勃起力の低下につながるケースも少なくありません。
本コラムではなぜ座りっぱなしの生活がEDのリスクを高めるのか、その仕組みと日常生活で意識したい予防・改善のポイントについて分かりやすく解説していきます。

💡この記事では下記の情報を得ることができます
| ✓ 座りっぱなしによるEDリスクの理由 ✓ 座りっぱなしと死亡リスクの関係 ✓ 予防・改善のポイント |
座りっぱなしによるEDリスクの理由
座りっぱなしはEDになりやすいって本当でしょうか?
デスクワークで普段のお仕事中は座りっぱなしだという方、非常に多いと思いますが、実は座りっぱなしだとEDになりやすいという話があります。
さらに座りっぱなしはEDだけでなく怖い話につながることも……。
代表的な理由は次の通りです。
・血流の悪化
勃起は陰茎へ十分な血液が流れ込むことで起こります。しかし、長時間同じ姿勢で座っていると、下半身や骨盤周辺の血流が滞りやすくなります。陰茎への血流が不十足だと、勃起力の低下や維持のしにくさにつながる可能性があります。
・神経への圧迫
座りっぱなしによって、会陰部(陰部と肛門の間)が常に圧迫される状態になります。この部位には勃起に関わる神経や血管が集中しているため、ここに慢性的な圧迫が続くと、感覚の低下や神経伝達の障害につながり、EDの原因になります。
・骨盤周辺の筋力低下
長時間座りっぱなしの生活では骨盤底筋(骨盤の底にあり、膀胱や直腸などの臓器を下から支える筋肉群の総称)や太もも・お尻周りの筋肉を使う機会が減り、筋力が低下しやすくなります。骨盤底筋は勃起時に陰茎へ血液をとどめる重要な役割を担っており、この筋力が弱まると勃起の維持が難しくなることがあります。筋力低下は自覚しにくいため意識的に鍛えることが大切です。
・生活習慣病のリスク増加
座りっぱなしの生活は、肥満や糖尿病、高血圧などの生活習慣病のリスクを高めます。これらの疾患は血管機能を低下させ、EDを引き起こしやすい要因として知られています。
・ホルモンバランスの乱れとテストステロンの低下
運動量が少ない生活は男性ホルモン(テストステロン)の分泌低下を招きやすいとされています。テストステロンは性欲や勃起機能に深く関わるホルモンのため、分泌量の低下はEDの一因となることがあります。
座りっぱなしと死亡リスクの関係
・死亡リスクの上昇
長時間座っていることは、心血管疾患、糖尿病、がん、さらには全死因死亡率の上昇と関連しています。1日8時間以上座っている方は、そうでない方に比べ、死亡リスクが15~20%高いという報告もあります。
・運動でリスクを軽減可能
中~高強度の身体活動(例:早歩き、ジョギング)を1日60〜75分行うことで、長時間座位によるリスクを相殺できるという研究結果があります(Lancet誌, 2016年)。ただし、「座って運動もしない」状態が最もリスクを高めます。
・代謝・循環系への影響
座りすぎは、血流が滞りやすくなり、血栓形成や血圧上昇のリスクを高めます。筋肉の活動が減少し、インスリン抵抗性が悪化すると糖尿病のリスクが増加します。
・精神面への影響も
長時間座位は、うつや不安のリスクとも関係があるとされ、メンタルヘルスへの悪影響も報告されています。
予防・改善のポイント
・1時間に1回は立ち上がり、軽いストレッチや歩行を行う。
・骨盤底筋を鍛える「ケーゲル体操」などを日常に取り入れる。
・有酸素運動(ウォーキング・スクワット・サイクリングなど)を定期的に行う。
・規則正しい食生活・禁煙・禁酒・ストレス管理を心がける。
・症状が続く場合は早めに医師に相談する。
長時間の座りっぱなしは、ただの「姿勢の問題」だけではなく、健康リスクそのものです。定期的に体を動かし、座りすぎを意識的に減らすことが、健康寿命を延ばすカギとなります。長時間の座り仕事が避けられない方は、意識的な運動習慣や生活改善でリスクを抑えることが大切です。
出典:Lancet誌 2016年 身体活動は、座位時間と死亡率の有害な関連性を弱めるか、あるいは完全に排除するか?
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記事監修

総院長菅原 俊勝
- 2004年(平成16年)
- 秋田大学医学部医学科卒業
- 2014年(平成16年)
- ユナイテッドクリニック池袋院
- 2021年(令和3年)
- 医療法人社団 淳康会 高森会 理事就任
- 2021年(令和3年)
- 大宮院管理医師、総院長就任
