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10代からなるEDの原因

2025.08.21

EDとは

当院ではED治療を求めて受診にいらっしゃる患者様の4%は10代後半の方です。決して多くはないですが適切な治療を早期に行うことでEDを克服されています。
ここでは10代のEDについて、原因や治療法を説明していきます。

まず、勃起とは、神経・血管・筋肉・ホルモン、そして心の状態が連携する複雑なプロセスによって引き起こされる生理的現象です。視覚や触覚、想像などの性的刺激が脳に伝わることをきっかけに、陰茎内部にある「海綿体(かいめんたい)」というスポンジ状の組織に向かって大量の血液が送り込まれることで陰茎が硬くなり勃起の状態になります。 静脈の血流が一時的に抑えられるため、血液が陰茎にとどまり、勃起が維持されますが、
このまま長時間勃起状態が続いてしまうと、血液の入れ替えができなくなり壊死してしまう為、射精や性的な興奮が無くなることをきっかけに非勃起状態へとなります。
以上が勃起のメカニズムとなります。

次にEDとは「勃起機能の低下」を意味する英語Erectile Dysfunctionの略であり、専門的には勃起不全や勃起障害と訳されています。「勃起の発現、維持が出来ない為に満足な性交ができない状態」と定義されている性機能障害の1つです。性欲減退や射精障害はEDには含まれておりません。

この定義に基づきEDは患者本人の自己申告によって診断されます。症状が中等度あるいは、重症者の数は約1,300万人と推定されていますが、。この中に軽症者数の数は含まれておらず、実際の数はもっと多くなりそして、今後も増加していくことが考えられます。このように、EDは身近な存在と認識する必要がありますが、これは。10代においても他世代と同様で、若いからといって例外があるわけではなくEDの悩みを抱える人は少なくありません。精力旺盛な若い世代という一般的なイメージとご自身の状況のギャップに著しい羞恥心を覚えていたり、親や周囲にも相談ができず医療機関への来院が難しかったりと、とくに一人で抱え込みやすい世代ともいえるでしょう。

10代のEDの原因

10代のEDには、主に4つの要因が挙げられます。

誤った知識や思い込みによるED
性教育の現状と課題として、地域や学校ごとの実施差があります。 これによって、学習機会が乏しく知識を十分に得られていない若者が性行為の際に過度な不安や緊張を覚え、EDを引き起こすことがあります。あるいは、誤った知識や思い込みが大きく影響します。インターネットやSNSを通じて容易に情報を得られる現代ですが、性に関する正確な知識を得られる機会は依然として限られています。性教育が十分に行き届いていない学校現場では、AVやネット情報が“教科書”になってしまい、「勃起=性的興奮の証」「長時間持続すべき」という極端なイメージにとらわれ、自らの性的反応に異常だと誤解する若者も少なくありません。実際には問題がない状況でも、こうした誤解や誤認が長期間続くことによって、実際にEDになってしまうケースもあります。

生活習慣の乱れによるED

生活習慣の乱れも無視できません。昼夜逆転の生活、栄養バランスの偏った食事、運動不足などは、ホルモンバランスや血流の悪化に繋がり、身体的な側面からもEDを引き起こす要因となります。これは10代に限らず、あらゆる年齢層で共通して指摘されている点ですが、身体的な発達途上の10代においてはとくに影響が現れやすいでしょう。

ストレスやコンプレックスによるED

ストレスの影響も非常に大きい要因のひとつで心因的EDに該当する内容です。10代は受験、部活動、対人関係、家族関係など、日々多くのストレスにさらされています。心身の発達が不安定なこの時期に、「性」もまた自分のアイデンティティを大きく揺さぶる要素となり、それがEDという形で表面化することもあります。また、10代に迎える思春期や青年期は他人と自分を比較し、コンプレックスを抱く人も増えてきます。体型や体毛、陰茎の大きさ、性的能力に関する自信のなさなど、他人と比較して生まれる劣等感が、性的な場面において過剰な自己意識を引き起こし、勃起に必要なリラックスを妨げる原因となります。特に10代では、他者評価への敏感さがピークに達しているため、些細なきっかけでも大きな影響を受けやすいのです。10代のEDは、単なる身体の問題ではなく、成長過程にある心と体の複雑な交差点で生じる“メッセージ”とも言えるでしょう。

経験不足や不安によるED

最も注目すべきは、経験不足による不安や緊張が引き金になるケースで、こちらも心因的EDにあてはまりますが、特に「初体験」に対する過剰な緊張感やプレッシャーは、パフォーマンス不安に直結し、「初体験」の失敗経験がトラウマになってしまうケースもあります。

ストレスやコンプレックスとも密接に関わりますが、経験が乏しいことによって性行為の際に過度に緊張をしたり焦りを感じてしまうことがあります。これによって思うように勃起が誘発されなかったり、勃起に至らない状況を「勃起しない=できない」と捉え、さらに状況が悪化、EDにつながっていくケースがあるのです。

その他の10代にみられるEDの原因

自慰行為によるED

現代の若者の多くが自慰行為を通じて性的快感を得る傾向があります。 自慰行為が必ずしも悪いとは限らない一方で、「自分一人で完結する性的刺激」に慣れすぎることで、実際のパートナーとの行為でうまく興奮できなくなる「仮性ED」を招くケースも報告されています。ご自身による強い刺激(視覚・想像)にに慣れたり依存しすぎると、実際の性体験では刺激不足を感じ、反応できなくなることがあります。

幼少期のトラウマや心的外傷

その他幼少期に経験したトラウマや心的外傷が、EDの原因となることがあります。EDを発症する代表的な例が「性的虐待」です。性的虐待などの幼少期の衝撃的な経験により、性行為に対して嫌悪感や否定的な感覚を持っていたりする場合にEDを引き起こすことがあります。10代になって心身ともに成長をする中で幼少期の記憶や経験がフラッシュバックしてしまうなど、とくに思春期・青年期ではその影響が露出しやすい傾向にあります。

10代のED治療

10代のEDのお悩みは、早期に原因を明確にし、正しい知識を得て自己受容を深めることがによって改善が見込まれる場合が少なくありません。早期の治療は、将来的な性機能の健全な発達にも繋がります。医療機関や専門家の支援を活用することも、10代の若者が抱えるEDをはじめとした性の不安を和らげる一助となるはずです。

ギガクリニックでご提供する治療は主に薬剤を用いた治療法ですが、10代のED治療では心因性EDによるものが多いことから、まずはカウンセリングをしっかり行うことに重点を置いています。心因性ED(勃起不全)の改善には、心理的な要因に焦点を当てた多角的なアプローチが必要です。まず重要なのは、自身の状態を正しく理解し、身体的な異常がないことを医師の診断で確認することです。

多くの場合、「身体には異常がない」と知るだけでも安心感につながり、症状が軽減することがあります。とはいえ、人によっては器質性EDだったり混合だったりと症状は千差万別です。まずは正しく原因を理解しアプローチをすることが重要ですから、専門機関での診察をおすすめいたします。

10代のED 自分でできるセルフケア

とはいえ専門機関への来院が難しい方も少なくないでしょう。そこでご自身でできるセルフケア方法についてご紹介していきます。

1. 自分の気持ちを素直に認め、意思決定力を育てる

自分がどう感じているか、何を不安に思っているのかを言葉にして整理することはとても大切です。感情を見て見ぬふりをせず「自分はどうしたいのか」を考える習慣が、将来の健全な人間関係や健康的な選択につながります。

2. 正しい知識を学ぶ

インターネットや噂に流されず、信頼できる教材や医療機関の情報から性や体に関する知識を得ましょう。正しい理解が不安を軽減し、冷静な判断を助けます。

3. 健康的な生活習慣を整える

・十分な睡眠:体の回復だけでなく、ストレスをやわらげる効果もあります。

・バランスの取れた食事:血流やホルモンバランスを整えます。

・適度な運動:体力の向上とストレス軽減に効果的です。

・スマホやPCとの付き合い方:夜更かしや長時間使用は自律神経の乱れにつながるため、メリハリを意識しましょう。

4. ストレス対処とリラックス法を見つける

・深呼吸や軽いストレッチ

・音楽や読書で気持ちを切り替える

・信頼できる人に話す

自分に合ったリラックス方法を持っていると、緊張や不安によるEDの悪循環を防ぎやすくなります。

5. 自分らしい関係づくりを大切にする

「相手に合わせなければならない」というプレッシャーは不安やストレスを生みやすくなります。自分の気持ちやペースを尊重し、安心できる関係を築くことが大切です。

最後に、セルフケアをしても不調が続く場合は、泌尿器科や心療内科、学校の保健室・相談窓口など専門機関に相談してかまいません。「一人で抱え込まない」という行動自体が立派なセルフケアです。

10代のEDについてよくある質問

Q1. 10代でEDになることは珍しいことですか?

A. 決して珍しくはありません。若年層のEDは、加齢や病気が原因のことは少なく、緊張や不安など心理的な要因が大半を占めます。むしろ思春期に誰もが抱きやすい悩みのひとつと言えるでしょう。


Q2. このままEDが一生続くことはありますか?

A. 多くの場合、一時的なものです。特に朝の勃起(朝立ち)がある、または自慰で勃起できる場合は、身体機能は保たれていると考えられます。心の状態や環境を整えることで改善するケースが多いです。


Q3. 自慰では勃つのに性行為のとき勃たないのはEDですか?

A. はい、心因性EDにあたる可能性があります。パートナーとの関係性や「失敗したらどうしよう」という不安が影響することがあります。治療やトレーニングで改善が見込めます。


Q4. 初めての性体験で勃たなかったら、もう治らないのでしょうか?

A. いいえ。初体験は誰でも緊張するものです。その一度の失敗を深刻に受け止めすぎると「次も失敗するかも」と不安が連鎖します。経験を重ねて慣れていけば改善することが多いです。


Q5. 勃たないとき、その場でできる工夫はありますか?

A. 深呼吸してリラックスする、スキンシップを増やす、焦らず時間をかけることが効果的です。勃起そのものより「パートナーとの心地よい時間」を大切にすると自然に改善につながります。


Q6. 10代でも病院で治療を受けられますか?

A. 未成年はED治療薬などの投薬は基本的に対象外です。ですが、医師やカウンセラーに相談することで、心理的ケアや生活習慣の改善指導を受けられます。まずは専門家に相談することが安心につながります。


Q7. ストレスや生活習慣もEDに関係しますか?

A. はい。睡眠不足や運動不足、スマホ・ゲームの長時間利用、食生活の乱れはホルモンや血流に影響し、勃起に関わる要因となります。生活リズムを整えることも立派な改善策です。


Q8. AVやネット情報ばかり見ているとEDになりますか?

A. 強い刺激の映像に慣れすぎると、実際のパートナーとの行為で物足りなさを感じることがあります。これは「仮性ED」と呼ばれ、現実とのギャップが原因です。視聴のしすぎには注意が必要です。


Q9. 体型や性器の大きさに自信がなくてもEDの原因になりますか?

A. なります。コンプレックスからくる自己否定感や「比べられる不安」はリラックスを妨げ、勃起不全につながることがあります。性機能は外見や大きさだけで決まるものではないと理解することが大切です。


Q10. 改善するために一番大切なことは何ですか?

A. 「一人で抱え込まないこと」です。親しい人や医療機関に相談する、正しい性知識を学ぶ、生活を整えるといった積み重ねで改善につながります。EDは治療可能なものであり、将来にわたって深刻に残る問題ではありません。

※このQ&Aは一般的な情報に基づくものであり、診断や治療を代替するものではありません。気になる症状がある場合は、必ず医療機関に相談してください。

【出典】

男性機能障害

勃起不全に関するYouTube動画の情報の質

健康関連のライフスタイル要因と性機能障害:人口ベース研究のメタ分析

思春期における性教育に関する知識:横断的研究

非定型自慰行為と男性性機能障害の関連性:異性愛関係にある男性を対象とした研究

若年男性の性機能障害としてのインポテンスに関連する心理的要因:注目すべき研究枠組みの文献調査

思春期の身体イメージの不満:体重を考慮した自尊心、不安、抑うつとの関係

文部科学省ホームページ(https://www.mext.go.jp/)

「健やかな体を育む教育の在り方に関する専門部会これまでの審議の状況―すべての子どもたちが身に付けているべきミニマムとは?―/4.その他-健やかな体を育む教育という観点から,今後,学校教育活動全体で取り組むべき課題について-」(文部科学省)(https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/attach/1395097.htm?utm_source=chatgpt.com)(2025年8月13日利用)

文部科学省『健康な生活を送るために(高校生用)』:https://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/hoken/08111805.htm (2025年8月20日利用)

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記事監修

ギガクリニック総院長 菅原 俊勝

総院長菅原 俊勝

2004年(平成16年)
秋田大学医学部医学科卒業
2014年(平成16年)
ユナイテッドクリニック池袋院
2021年(令和3年)
医療法人社団 淳康会 高森会 理事就任
2021年(令和3年)
大宮院管理医師、総院長就任